- 2016-8-24
- 独自取材
今回お話を伺った方
在名古屋カナダ領事館 オフィスマネージャー 田中 里佳 さん
名古屋にあるカナダ領事館にオフィスマネージャーとして活躍されている田中里佳さんに、ご自身のキャリアライフと女性リーダーへの想いについてお話を伺いました。
ー領事館の主な役割を教えてください
日加間のビジネス関係を促進するための諸活動を行っています。
特に重要な役割として、カナダの各種産出物や製品の供給源についての最新情報を日本側に提供すること、日本市場に関する情報や市場参入戦略についてカナダ企業を援助すること、二国間の投資促進などがあります。
その他にも カナダの文化、学術、スポーツなどの紹介と日加交流、人的交流の推進も行っています。
また、在日および日本旅行中のカナダ人のため、パスポートや市民権関連業務および、法的問題などに関する相談受け付けも行っています。(*ビザの取り扱いはしていません)
ー自分に必要な学びを積極的に取り入れてきました。それが次の仕事につながっていくことが多いです。ー
●Career Story Of Her
予想以上に幅広い業務がありますが、工夫しながら楽しんでいます。
前職である福岡の貿易会社では、日本、ヨーロッパ、米国の分析装置、バイオ関連機器および周辺消耗品の受発注、通関資料作成、出荷、決済までをまず担当しました。
そして、徐々に国内企業への貿易コンサルティング業務や、より取り扱いの困難な製剤原料の中国輸出や、中国でのプラスティック消耗品製造、品質管理、輸入マネジメントに携わりました。
会社が中国の瀋陽事務所を立ち上げた時には毎月事務所を訪れ財務指導および管理を行いましたが、現地の人とともに仕事をする中、商習慣、文化など様々なことを学ぶことができました。
2008年に、大学時代の留学経験や前職で国際業務に携わったことを活かし、ビジネスだけでなく、文化、教育、人を通して国と国をつなげる橋渡し役ができればと思い、現在の仕事に着きました。
領事館での仕事は、想像以上に幅広く、先日伊勢で行われたサミットにも携わることができました。
現場の毎日張り詰めた緊迫感の中で、的確に仕事を行う力と、ちょっとしたすき間を見つけて楽しむ工夫も必要だと感じました。
反省点ももちろん多々ありましたが、この貴重な経験がまた新たな挑戦につなげてくれると信じています。
-キャリアのターニングポイントは?
ターニングポイントは、やはり領事館に転職したことですね。
就職する前に想像したよりも、幅広い業務がありました。
ビジネス以外にも、文化、教育、人権に関わるなど多方面に渡ります。
まさか私が小学校に行ってカナダについてお話をするとか、刑務所を訪問してカナダ人の人権に気を配ることまで仕事の範囲が及ぶとは思っていなかったのですが、このようにいろんなことに携わり、学べる環境を気に入っています。
昨年から社会人向け大学院に週末通っているのですが、福岡での前職時代には通訳の勉強をするなど、その時々で自分に必要だなと思うことを取り入れてきました。
それが次の仕事に役立ったり、新たな展開につながっているようです。
-周りの人の協力は?
2008年まで福岡に住んでいましたが、名古屋の領事館への転職の話が出た際に、夫は快く同意してくれました。
私達夫婦にとっては自然なことでしたが、なかなか奥さんの転勤についてきてくれる旦那さんは貴重だよと友人に何度か言われたことがあります。夫にはとても感謝していますね。
仕事の話もお互いによくしますし、悩んでいる時にアドバイスをもらうこともあります。加えて、彼が一番の飲み友達。
また、名古屋には全く知り合いがいなかったので、趣味のサルサダンスや、仕事外で参加しているNPO東海日本カナダ協会での活動などを通じてできた友人達は大切な存在だなと実感しています。
リーダーシップやチームビルディングを学ぶには、社外の場で練習してみることをお勧めします。
-日本の女性リーダーに必要なスキルとは?
女性は能力があっても、それを表に出せなかったり、自信が無かったりすることが多いように感じますが、それを克服するには、実際に経験を積み重ねて自信につなげていくしかないのではと思います。
ただ、社内で練習をしようと思っても、そういう場が無かったり、失敗するリスクを恐れたりしがちなので、社会活動などで体験するのも一つのオプションだと思います。
私自身は、国際的非営利教育団体であるトーストマスターズクラブでパブリックスピーチとリーダーシップについて学ぶことができましたし、東海日本カナダ協会ではプロジェクトマネジメント、チームビルディングなどを実践から学ぶことができました。このような利害関係の無い社外で経験を積める学びの場所に参加するのはいかがでしょうか。
職場では、一緒に働いてきたカナダ人の領事を見ていて感じたことですが、評価をちゃんと言葉に出して人前でしてくれることが大事だなと思いました。
○○してくれてありがとうとか、これが良かったよと言ってくれると、ちょっとしたことですが、モチベーションが上がりますし、自信にもつながります。
カナダについては、1970年代から国として多文化政策を導入し、いろんな移民の背景を持っている国民がたくさんいますから、ダイバーシティへの関わり方は進んでいるように思います。
性別や外見の違いではなく、様々な経験、知見の違いを活かすことで、より多様で魅力ある社会に向かっていくために、自分自身で何ができるか問いかけていくことを忘れないようにしたいと思っています。
田中 里佳さんのライフスタイル
毎朝出かけるまでにしていること
社会人向けの大学院に昨年から通っているので、その課題準備のため普段は5時半に起きますが、休みの日は少しだけのんびり朝を過ごすようにしています。
帰宅後の習慣
夕食後は大学院の勉強がほぼ毎日で、息抜きに1時間ぐらいウォーキングかジョギングに行くようにしています。
これからの夢は?
海外のフルマラソン大会に参加すること。それから、おばあちゃんになってもサルサを踊っているのも夢ですね。
■企業情報
名称/名古屋カナダ領事館
設立/1992年
URL http://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/offices-bureaux/nagoya.aspx?lang=jpn