インタビュー【児童発達支援及び放課後等デイサービス 代表 久世里美さん】

学童向けのアフタースクールケアサービスをはじめ、 様々な社会的課題に取り組むソーシャルビジネスを展開している、E Placeを6年前、岐阜県大垣市に、そして、平成26年に各務原市に多機能型 児童発達支援&放課後等デイサービス COLORSを開かれた久世さん。(株式会社イープレイス http://e-place.jimdo.com/)会社員時代は社長秘書として活躍。そのキャリアを辞め、なぜ起業に至ったのか。その想いや、今後への志を伺いました。

 

 「自分で作ってしまおう!」

-- そもそもどんな経緯で学童向けアフタースクールを作ろうと思われたのですか。

「会社務めだった頃、会社が育児制度を変えるという時に、部長職として担当したんです。

ところが、その制度改革を進めていく中で、理想と現実が合っていない、ニーズとマッチしていないと、気付かされました。
育休後復帰しても、現実には時短やパートタイマーで働かざるを得ない人がほとんど。女性はキャリアが積めない現状になっているんです。

久世里美さん(COLORS各務原にて)

久世里美さん(COLORS各務原にて)

-- 女性の働く環境がまだまだ現状と合っていないことに気づかれたんですね。

「はい。幼稚園時代はまだいいのですが、小学校に上がるともっと大変になります。

『小1の壁』と言いますが、子供が帰ってくるのが更に早くなるんですね。時には午前中で学校が終わることも。その場合、その後預かってくれる場所が重要なんですが、それも現状に合っていない場所が多いんです。」

-- どのように合っていないんですか?

「学童保育という、地域に根ざした放課後の小学生児童に、適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る場所がありますが、その終了が17時半とかだったりするんです。

正社員で働いている方が、17時半や18時には迎えに行けません。

それから、学童は場所を提供してくれるだけなので、そこにいる間遊んでいるだけになってしまいます。

働いているお母さん達は、習いごともさせたいのに、それもできないという悩みがありますね。」

-- なるほど。ただその時間預かってもらうだけになってしまうわけですね。

「他のお友達が習いごとや塾に行っている間、何もしていないというのは親としてはちょっと心苦しいものなんです。

そこで学童にいる時間に、習いごとができたらいいじゃないかと発想して、無いなら作ってしまおうと思ったわけです。」

 

-- まずは、大垣市に、E Place大垣を6年前に開設されたということですが、どんなことに気を付けられましたか?

「まずは近くのお母さん方にニーズをアンケートしました。何時まで預かるのがいいのか、どんなことを期待するか。

その結果、預かりは18時半まで。習いごととしては、そろばん、英語、書道を教えることにしました。これらは一生ものの力になるからです。子供時代に覚えておくと体に染みこんで忘れませんからね。おかげさまで、E Place大垣は、募集を掛けなくても毎年いっぱいとなります。

-- そして、昨年各務原市に多機能型 児童発達支援&放課後等デイサービス COLORS各務原をオープンされました。たくさん部屋があって広いスペースですね。

COLORS各務原の一室

COLORS各務原の一室

「発達障がい専門のスタッフによる個別指導計画と個別支援計画をもとに放課後ケアなので、1対1で支援を行う部屋も必要ですし、皆で遊ぶ部屋などがあります。

このサービスのためには、一軒家がいいと思って探しました。テナントですと、音の問題がありますし、一軒家で外に出れば土があるという環境も重要だと思っています。

それから、これもポリシーですが、発達支援のお子さんの預かりは土日もして欲しいという声がありますが、当施設では、土日の預かりはしていません。なぜなら、家庭力を付けるためには、土日は家族で過ごして、家庭の温かさを感じて欲しいからです。

-- 最後の質問です。久世さんは起業を選ばれたわけですが、女性が企業でずっと働き続けるには、何が一番必要だと思いますか。

「病時、病後保育だと思います。会社の中か近所に預かってくれる場所が必要です。子供の病気は長引くこともあって、その都度会社を休んだり早退するのは、本当に大変なんです。必要だと思っている女性が大勢いると思います。実は育児中だけではなく、介護をしている社員にも必要な場所ですから、企業は真剣に考える時ではないでしょうか。

 

育児制度を改革する現場にいたからこそ、女性の求めているものと企業の制度が合っていないことを痛感され、自分で支援する場を作ってしまおうと考えられた久世さん。まだまだ女性が安心して働き続けるには大変な環境が多いということを実感しました。

<執筆者:篠田寛子  取材日:2015年11月25日>

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