vol.13【社会を動かす私たち】
本コラムでは英国人を中心に、様々な女性の活動や生き様を紹介してきました。執筆活動に勤しんだ女性、社会への奉仕活動に精力を注いだ女性、表舞台で男性社会に激しく抵抗した女性…実に多様な手段を利用し、彼女たちは当時の支配的なジェンダー観や社会における不平等な扱いと闘ってきました。女性たちが残した葛藤の軌跡から、私たちは何を学ぶことができるのでしょうか。 2018年は、英国で女性に参政権が付与されてから100周年目にあたる年です。ロンドンにある国会議事堂前のパーラメント・スクエアには、以前のコラムで取り上げた婦人参政権運動の指導者ミリセント・ガレット・フォーセットの銅像が置かれました。男性ばかり11人の銅像が並ぶ中、女性の参政権獲得100周年を記念し、初めて女性の像が建てられたのです。 銅像は彼女が行ったスピーチの一節“Courage calls to courage everywhere”(勇気はあらゆる場所に勇気を呼ぶ)と書かれた幕を掲げています。女性が男性と法的平等な権利を与えられるようになったのは、わずか1、2世紀前の話。女性の不平等な立場が改善されてきたのは、常に勇気を持ち、声を上げてきた女性たちの不断の努力があったからに他ならないのです。 そうした女性たちのおかげで、女性が活躍する場は100年前と比較すれば飛躍的に広がったと言えます。20世紀に入ってから、教育や雇用の機会は一気に女性へと開かれていきました。しかし、いくら男女が法律や制度上、平等な権利を持っていたとしても、社会に対する疑問の声を上げ続ける必要があるでしょう。目に見える性差別だけではなく、目に見えない性差別とも常に闘っていかなくてはならないのです。
コラムは今回が最終回になります。お読みいただき、ありがとうございました。 |