- 2016-3-26
- 独自取材
今回お話を伺った方
株式会社ゴイス 専務取締役 山口 智子 さん
オーケストラのコンサートから学生のコンクールまで、音楽イベントの映像化や、幼稚園行事のビデオ撮影などの映像編集・撮影部門をメインに、イベント事業、DTP事業まで幅広い活動を行っている株式会社ゴイス。なかでも社長の片腕でもあり、自身の経験から女性の様々な働き方を取り入れて、会社を改革している専務取締役、山口智子さんに、ご自身のキャリアライフと女性リーダーの未来についてお話を伺いました。
-御社の事業内容を教えてください
当社は、アルバイト、パートを含めて20名の会社です。以前は男性ばかりの会社でしたが、徐々に女性を増やしてきました。
業務内容はオーケストラのコンサートや吹奏楽、合唱コンクールなどの演奏会・発表会などを記録に残す、音楽系の映像撮影・編集を得意としています。売り上げの6割ぐらいを占めます。(http://www.concert-video.jp/)
元々代表取締役の森田宏治が、アマチュア楽団のフルート奏者で、その映像を残すためにかなり高額を支払うことに疑問を持ち、安価な独自のシステムを構築して始めた事業です。
その他大きな事業としては、幼稚園行事のビデオ撮影(http://www.g-gois.com/youchien/)です。
自分の子供の幼稚園行事の時に、いつも自宅のハンディカメラを片手に子供の撮影に必死で、演技をまともに見られない。残ったのは自分の子供がアップの映像ばかり。
そういう自分の体験から、プロに頼めば、行事全体を撮ってくれ、お友達もきちんと写った映像は、子供が大きくなった時に思い出になるのになと思って始めた事業です。
おかげさまで、好評をいただいています。
この二つが事業の大きな柱です。
その他、企業プロモーション映像の制作やセミナー撮影、イベント事業として、企画立案、イベント総合プロデュース。DTP事業として、各種印刷物の企画から制作。
などの事業を行っています。
-必要なことは創り出せばいいと考えています-
●Career Story Of Her
自分の経験から、女性達の働き方をフレキシブルにしようと思いました。
最初に就職した公共工事コンサルティングの会社では、システム管理部に配属されやりがいを持って働いていました。
ちょうどその頃産休を取り、復帰したのですが、元の部署に戻れなかったのです。異動した先の総務の仕事になじめず、元の仕事に戻りたいという思いをいだきながら、慣れない子育てとの両立にも苦労していたある日、同僚の男性に「元の部署に戻れなくて悔しいだろう」と言われたのです。
私の中で何かが切れた瞬間でした。その後過呼吸のような状態で病院に運ばれ、休職した後結局復帰できずに退職しました。
その後2年ほど主婦として過ごした後、徐々にパートの仕事をし出し、働く自信がついてきたので、携帯販売会社に社員として就職。
店長としてサービスの向上に努力をしていたら、私は人と話をするのが好きで、デスクワークより接客に向いているんだと気づいたんです。
当時多かったサービス合戦というやり方ではなく、丁寧な接客をすることで人の魅力を伝えるというやり方で、私が入る前までは地域で下の方の売り上げだった店が、地区で2位となりました。
その後、とあるビジネス交流会で現在の社長に会って、会社に入って欲しいと言われて転職。現在に至ります。
-どのような思いで仕事に臨んだのですか?
入社した時に、社長から「義務を果たしてから権利を主張しなさい。まずは結果を出せ。」と言われました。
そこで、私ができることは何かを考えました。
当社はインターネットでのみ集客をしているので、サイトのデザインをターゲットとなる人に好まれるものにし、問い合わせしやすいサイト内容に変更したり、とにかくメールの返信は迅速にし、お電話での対応には気持ち良い接客を心がけました。
又、この業界は、電話注文を受けるのは圧倒的に男性が多く、あまり親切じゃない応対の会社が多いイメージを持たれ易いので、当社での受付は女性にし、親切でやさしい応対に気をつけました。
私はこの業界の仕事には素人だったので、素人の私がお客様の立場から考えて、受けたいサービスを実行していったんですね。前職のサービスを徹底的につきつめた経験がここで生きました。
すると、1年で顧客数が3倍となり、結果を出したということを評価してくださって、取締役に昇格しました。
「なんのために仕事をしているか?」「お客様に喜ばれるためには?」をとことん考えて実行した結果だと思っています。
―社員への支援制度にはどんなものがありますか?
実は私は、自分が子供を犠牲にして働いてきたという思いを持っています。
だからこそ、関わってくれる方々にそんな思いをしてもらいたくない。
自分の仕事に責任を持って取り組んでもらいたいが、無理はしてほしくない。
最初の会社で辛い経験をしている私だからこそできる、
みんなが気持ちよく働ける環境を創れないかと考えました。
まず在宅ワーク制度(弊社ではクリエイティブ・パートナーと呼んでいます)を作り、4人の女性が生き生きと働いています。
さらに、パートで来てくださっている女性達の働き方もフレキシブルにしています。
出社する時間は決めていますが、帰る時間を固定にしていないのです。
例えば今日は何時に帰るから、ここまでの仕事をしますと個人個人で決めてもらうようにしたのです。
子供の学校行事や病気の時など必要な場合は早く帰社できるようにしたり、業務に支障がでないように交代したりなど、今ではパートさん同士、仕事に対する意識をもってお互いのスケジュール調整をしてくれています。
今後「産休」「育休」の対象の人が出てきたら、都度対応していくつもりです。
「自分ができることをきちんとすることで、周りの理解を得る」
―日本の女性リーダー育成に必要なメンタルは?
自分ができることはこれなんだと強みをきちんと出すことです。
普段から責任を持って仕事をしているな、質の高いパフォーマンスができてるなと周りがわかっていれば、
時短だろうが、休みを取ろうが、周りは理解してくれます。
まずは、一人ひとりがそういう気持ちを持つことから始まると思うんです。
―日本の女性リーダーに必要なスキルとは?
子育ての段階から、お母さんが何でもやってあげるという体勢ではなく、子どもが自立できるような育て方をして、何かやってくれたらお礼を言う、うれしいなと感謝するという子どもとの関係性を持つことは重要だと思います。
そして周りの協力を仰ぐことです。
私達夫婦は、結婚当初から、「気づいたらやろう、なんでやっていないんだと相手を責めない、そしてやってくれたらありがとうと感謝する」というスタイルを続けています。
気づいた方が家事をするやり方で、お互いが忙しい時を乗り越えています。
山口智子さんのライフスタイル
毎朝していること
7時:起床。私と夫、早く起きた方がご飯を作る。
子どもを学校に送り出す。
9時出社。
出社後、していること
メールの返信。今日の状況確認。
帰宅後の習慣
18時半退社。19時帰宅。
子どもの宿題を終わらせ、ご飯、お風呂などの家事を終えるのが23時頃。
そこからメール処理などをして就寝するのは午前1時半頃。
「以前は家事を終えてから夜中に仕事をしていましたが、1年ぐらい前から、仕事を家に持って帰らないように心掛けています。そうするために、社員に仕事を任せたり、効率良く工夫できるようになりました。
夜中仕事をしないようになって、良く眠れるようになったので、体調も良いですね。」
モットーは?
相手を喜ばすことが好きです。
誰かのためにどう役に立つか。喜んでもらいたいなと常に考えています。
それが悪い方に出ると、相手の気持ちを考えすぎて、きちんとしかることができないんですよね。
それでは本人が成長できないんで、今はちゃんとしかるということが課題です(笑)。
■企業情報
名称/株式会社ゴイス
代表取締役/森田宏治
設立/2011年1月6日