- 2017-10-31
- 独自取材
今回お話を伺った方
大橋運輸株式会社 総務経理課 課長 米山朝子 さん
大橋運輸株式会社にて課長として活躍されている米山朝子さんに、ご自身のキャリアライフと女性リーダーへの想いについてお話を伺いました。
ー御社の概要を教えてください
弊社は、法人のお客様向けに、一般貨物自動車運送事業、リユース、レンタルコンテナ事業。個人のお客様向けに引越サービス、生前整理や遺品整理といった片付けサービス、不用品の買い取り、そしてレンタルコンテナまで、地域に密着した活動をしています。
社会福祉士、福祉住環境コーディネーター、古民家鑑定士、整理収納アドバイザー、(社)遺品整理士認定協会認定の遺品整理士などの様々な資格を持つ社員が様々なニーズに合わせて対応しています。
『仕事を通じてお客様や地域に貢献する』という経営理念の元、全ての社員がモチベーションを高く維持し持てる能力を存分に発揮してもらえるよう、ES活動も活発に行っています。
例えば、『旬産旬消(旬の果物等を味わいその高い栄養素を身体に取り込むことにより、社員の健康を保つ)』、『ダイバーシティ(障がい者、LGBT、外国籍労働者、高齢者などの多様な人材が能力を発揮できる職場環境の整備)』、『子育てサポート(男性育児休業取得率60%以上を維持など、両立支援を行う)』などが一例です。
又、CSRとして、社会貢献活動、環境保護活動なども積極的に行っています。
例えば、『オリジナルエコバッグ』『エコキャップ無料回収(回収した売却益で、障がい者福祉施設の製作する軍手を購入し、環境保全活動に役立たせる)』、『東南アジアの子供たちへ(社員や地域のご家庭で使わなくなった物を、必要としている子供たちに送り活用していただく)』などが一例です。
もっと身近な暮らしのパートナーを目指して、日々活動しています。
ーダイバーシティな職場なので、男女の違いは埋もれてしまってあまり目立ちません。ー
●Career Story Of Her
育児復帰後短時間勤務になったことにより、時間に対する感覚が変わりました。
平成18年に職業体験をさせていただき、居心地が良かったのでがんばれそうかなと思い、入社しました。
最初は経理補助から始まり、総務などの仕事を経験させていただいた後、4年前に最初の産休・育休を取得させていただきました。弊社では、初めての育休取得だと聞いています。
そして、2回目の産休・育休取得後、1年前に復帰しました。今年の1月より課長を拝命致し、総務、経理の業務を行っています。
今では弊社の特徴となっている、ダイバーシティ(障がい者雇用率4.19%、外国籍労働者、LGBTの方々など多様な社員が働いている)な環境は、私が入社した頃はまだ始まっておらず、徐々に色んな価値観の方々が増えていきました。
これは弊社社長の鍋嶋が非常に柔軟な考えを持っていて、それをベースにLGBTの会合に勉強に行って学んだことを皆で話し合い、気持ちよく働くために差別的な用語、使わない方が良い言葉を学んだり、障がい者の方々がその能力発揮するために、どうサポートすればいいかを考えたり、そういうことの積み重ねで作り上げてきた結果だと思います。
そういう多様な方々がいらっしゃいますし、皆で話し合い、工夫し合う風土ですので、いわゆる男女の違いについては、弊社では全く大きな問題とされていません。
誰もが職域を限定されていませんので、やれる者がやれることをするという職場は、とても働きやすいです。
-キャリアのターニングポイントはいつですか?
出産の為、1年育児休暇をいただいたことが大きなターニングポイントになったと思います。
まず一つは時間に対する考え方です。家事育児も同時にこなしながらの勤務は、短時間で効率よく業務をさばく必要に今まで以上に迫られます。その中で「どうしたら効率よくなるか?」「どうしたらより良くなるか?」を常に考えるようになり、時には他部署の方々やお取引先様なども巻き込みながらお互いがより良くなる方法は何なのかを考えるようになりました。
また、子育てを通じて「相手を肯定する・受け入れる・観察する」ことの大切さを痛感し、その経験も職場でのコミュニケーション時に意識するようになったと思います。
育児休暇を2回取得させていただき、現在は4歳と1歳の子どもを育てながら短時間勤務で働かせていただいています。子育てとの両立を考えるとやはり短時間でいかに業務をさばくかということが非常に重要になってきますので、そこは現在も反省する点が多く勉強中です。
女性だからという理由で、傷ついた言葉というのは特にないですが、お取引先様とのやり取りの中で頼りなく見られてしまっているなと痛感することはあり、その時は少し落ち込みます。
実際に自分の至らなさを痛感する毎日ですが、上司、職場の仲間の方々のフォローにとても助けて頂いています。また、改善活動を通じて周囲の方からいただくありがとうという言葉がとても励みになります。
―社員への支援制度にはどんなものがありますか?
育休、介護休暇など一般的な支援制度はもちろん整っています。
現在弊社は、国内外様々なところから採用オファーをいただけており、おかげ様で採用に困るという状態ではありません。勤務時間への柔軟な対応や職域を限定していないこと、ダイバーシティの活動をメディアに取り上げていただけることが多く、イメージアップになっていること、など様々な要因が複合してのことだと思います。
そういった状態を続けていくためにも、社員の意識を高めるES活動も盛んで、社員の提案をきちんと取り上げていただける風土があるので、皆積極的に提案していますね。そこから生まれた改善も数多くあります。
資格取得の補助もあり、女性は特に資格取得に積極的です。
CSRとして、社会貢献活動、環境保護活動もたくさん行っていることで、地域社会に貢献するだけでなく、関わる私達一人ひとりの心の成長にもつながっています。
又、先日の安全大会では、英語を全く話せなかったある社員が、一緒に働く外国籍の方に刺激を受けて英語で立派にスピーチしていました。ダイバーシティな環境だからこそ切磋琢磨できますし、皆で考えるきっかけも増えます。
そういったことも、社員への支援だなと思います。
-周りの人の協力は?
育休中は社長自ら、会社の現状などを定期的にメールなどで情報発信してくださいました。そのおかげで1年後職場復帰したときも浦島太郎のような状態になることなく済みましたし、職場復帰に対する自分の精神的な負担もかなり減りました。
会社の子育て期女性に対する理解が深く、とても恵まれた職場環境に感謝しています。
また、業務については、欠員補充をするのではなく、自分の業務を複数人の方でカバーしてくださいました。
育休者が出ると、そのために人を補充し、職場復帰しても仕事がないという話はよくききますが、職場復帰後にそのようなことにならないように配慮してくださいました。
ただ、そのため周囲の方々の負担はかなり大きかったと思いますし、それでも笑顔で送り出してくださったことを本当に感謝しています。
そのような協力のもとで成り立った職場復帰でしたので、自分自身もただ休んではいられないという思いが強くなり、職場復帰後すぐ、衛生管理者や乙四など仕事で必要となる資格を取得しました。
多様性を受け入れる風土が、女性リーダーが活躍するためには特に必要な環境だと思います。
-日本の女性リーダーに必要な環境・スキルとは?
必要な環境は、多様性を受け入れる風土を会社として作っていくことだと思います。弊社においても勤務時間や勤務体系・国籍・性別などあらゆる多様性を会社として受け入れることにより、優秀な社員が多数定着しました。
そして、複数の部署がかかわる業務などは一部署だけでなくプロセス全体を関連部署全てが理解共有し、問題点解決策をともに明らかにしていく、その流れを作っていくことがリーダーに求められていることだと思います。
又、必要と思うスキルとしては、「七つの習慣」という書籍で自分がとても感銘をうけた箇所ですが、「主体性をもって行動する」ということの大切さを痛感しています。
どんな言葉をかけられたとしても、それに対し笑顔で答えるのか、嫌な態度で答えるのかは自分次第であり、その結果起こることも自分の態度が起因しているのだと思います。
女性の方が多様性を受け入れやすいように感じています。弊社で接してみて感じるのは、LGBTの方々はきめ細かい配慮が得意な方が多い、外国籍の方はパワフルです。
そういう色んな多様性に対して共感し、コミュニケーションを取っていくことも大切なのだと思います。
米山 朝子さんのライフスタイル
毎朝出かけるまでにしていること
毎日6時に起床し、家事をした後8時に家を出ます。
帰宅後の習慣
帰宅後買い物、晩御飯、8時半頃子どもの寝かしつけをします。
その後家事を終えて私自身がゆっくりできるのは、寝るまでの1時間ぐらいです。
家事に追われる毎日ですが、「絵本を読んで」「抱っこして」と子供が甘えてきたときはどんなに忙しくても必ず応えてあげることを心掛けています。限られた時間だからこそ、濃密に過ごすことをモットーにしています。
■企業情報(平成29年7月現在)
名称/大橋運輸株式会社
代表者/代表取締役 鍋嶋 洋行
設立/昭和29年3月17日
社員数/109名(男86名 女23名)
保有車両/大型車31台 中型車41台 小型車3台 フォークリフト4台