今回お話を伺った方
株式会社ノーザンライツ 取締役 八畑 仁美 さん
アルバイトの採用から戦力化をワンストップで支援する「OSR」をメイン事業に、1995年の創業以来20年にわたって採用支援を行ってきたパイオニアである株式会社ノーザンライツ。なかでも社長の片腕でもあり、社のキャッチフレーズ「人のココロに、ワクワクを。」をみずから体現する取締役、八畑仁美さんに、ご自身のキャリアライフと女性リーダー(マネージャー、管理職、役員、CEO)の未来についてお話を伺いました。
ー御社の事業内容を教えてください
当社は、大阪・東京・神戸合わせて100名の社員、アルバイトがいます。その中の半分くらいが女性ですね。
業務内容は企業のアルバイト・パートの採用から育成、戦力化までを支援しています。
お客様は北海道から沖縄まで全国にチェーン展開している店舗で、アルバイト・パートの採用活動を一手に引き受けています。
アセスメントや研修を提案することで、入社していただいた方が活躍し、企業にとって戦力となる人材になっていただくことをゴールとしています。
企業にとっては、費用をかけて採用したアルバイトがすぐ辞めてしまう、という課題がたくさんありました。採用した方が活躍する前に掛かる資金を「未戦力賃金」と私たちは名付けましたが、戦力になる前に辞められてしまうと、その費用は企業にとって価値のない賃金となってしまいます。その「未戦力賃金」の課題を一緒に解決していくお手伝いをしています。
また、アルバイトの方たちの働き方を目の当たりにして、子どもの頃からの人間教育が大切だと考えるようになりました。そうして9年前から教育事業をスタートさせました。(国内教育事業:神戸市内で個人指導塾2校を運営。玉津校、伊川谷校)
本当は『7つの習慣J』に重きを置きたかったのですが、なかなか「あり方」の教育を塾で始めるのにはハードルが高く、思うように進めることが出来ず、今は150名くらいの子どもを対象に、「塾」として勉強を教えながら、靴をそろえる・挨拶をする・などのあり方の部分を盛り込んでいく形にしました。
教育事業を続ける中で、海外への展開(海外教育事業:インドネシアにて「NLEC(Northern Lights Education Center)」を運営。今後はASEAN全域へと拡大予定)も進めてきました。
インドネシアからの留学生をインターンシップで採用していたため、3年前(2012)、インドネシアの留学生の地元の学校を見学に行こうと、インドネシア・バンドンに向かいました。インドネシアの人口は約2億5000万人。第3の都市バンドンの街にはたくさんの大学があり、多くの優秀な学生が日本語を学び、日本に興味をもっています。学生達の日本への興味、関心を広めたい、インドネシアで事業を作って雇用を増やしたい、という想いから、直感で、バンドンに400人規模の教育機関を作ることにしました。
現在は、グローバルな活躍を目指す彼らに、よりハイレベルな学校へ進学するための「進学指導」「学習指導」をはじめ、「プラスワンスキル」として「日本語」「英語」を教えるとともに、より実践的なスキルとして「ビジネススキル教育」を教えながら運営しています。
また、日本への留学生と、企業とを結ぶ人材紹介もはじめました。意欲の高い学生たちを、グローバルな考え方の企業へとマッチングしています。インバウンドのサービスを展開される企業様に人気です。
-「失敗したけど、何かできるよね」と考えます-
●Career Story Of Her
「会社は全員で動かしている」と言い続けました。
新卒入社は百貨店です。その後、結婚、出産をして子どもが小さい頃は仕事をしていない時期もありましたね。ただ、自分の地元で子どもやお母さんを巻き込んだ「寺子屋」のようなことをやりたいと思っていました。英語やパン作り、料理などを家で教えながら、お母さん達が集まり、子どもが集まってくるようなコミュニティを作ろうとしていました。
しかし、夫が21年前に立ち上げた当社の仕事が忙しくなってきて、手伝うようになりました。最初は週2日勤務の経理だったのが、会社が大きくなるにつれ、営業、人事…いろんな仕事をやるようになり、現在に至ります。
-仕事での困難にはどんなものがありましたか?
会社では、どうしてもお金を生み出す「営業ありき」的な考えをしてしまうことがあります。
でも実際は、営業を支えてくれる人や様々な形で関わっている人がいてこそ、成り立っているんです。
会社を立ち上げて間もない頃は、営業が営業アシスタントを部下のように扱ったり、そのような発言が出た時には「何かが違う」と思っていました。
社内の雰囲気も殺伐としていて、業績もあまり良くなかったですね。
ですから「営業だけで会社は回っているんじゃない。全員で動かしているんだよ」ということを言い続けたんです。
そのうち、社内にもしっかり意見を言うスタッフが出てきて、徐々に空気は変わっていきました。
「会社が良くなるためには?」「スタッフが働きやすい環境にするには?」ということを日々大切にしてきたと思います。
だからこそ、社員からの「ありがとう」とか「お客様から褒められた」という言葉を聞くと、やっぱりすごくうれしいですね。
―社員への支援制度にはどんなものがありますか?
「産休」「育休」の他に、「ママ休」制度というものがあります。
その他には「有給を1時間単位で取れる」ようにしています。
これは女性だけでなく、男性からも要望がありました。子どもの参観日を見に行きたいとか、入学式に出たいとか、そういう希望に沿えるように時間単位で休みがとれるようにしています。アルバイトの方も同じように取得しています。
管理職のステップアップとして、マネージャーには月1回研修をしています。
男女関係なく、スタッフを日々見ていて、営業に向いている人、マネージメントに向いている人、いろいろ強みがあると思うんです。
営業には賞与など金銭面での報酬がありますが、徳がある人に対するインセンティブが、我が社では「マネージャー」というポストになるのかな、と思っています。
マネージャーになるには、自分への利益ではなく、「これは会社にとっていいのかどうか?」という判断ができることが大切だと思います。
「ひとりの人間として、自然体で仕事をしていく」
―日本の女性リーダー育成に必要なメンタルは?
仕事をするにあたって男性・女性であるというより、人であるという気持ちが大前提だと思っています。
私自身「女性だから」と特に意識してはいないんですよ。
「ひとりの人間」として仕事をしてがんばっていることが普通で、「女性」という言葉を出すことで、不利な環境にいることを言っているようで、あまりいい気持ちはしません。
みんなが自然体で、それぞれの立場や個性を発揮しながら仕事をしていける環境だったらいいなと思います。
―日本の女性リーダーに必要なスキルとは?
いろんな人を巻き込んで成果を出させる力ですね。
そのためには人間力、信頼、信用できる人になる努力が必要だと感じています。
仕事の状況や方針が変わっても、みんなと方向性を考え、進めていける力があるといいですね。
また、人に興味を持ち、変化に柔軟に対応できる力も大切。
四角四面に考えるのではなく、器の幅を広くしていくことは大事だと思います。
そうなるためには、やはり多くの経験が必要。
失敗や「もうダメかも」と思うような出来事はたくさん起こります。
それをたくさん経験するほうが強くなれるような気がしています。
大変なことを乗り越えることで、さらに強くなっていくのでしょうね。
失敗することは実はとても大事なこと。
失敗しないように行動すると、いつのまにか小さくなってしまうんですよね。
失敗を恐れず、多くの経験をして欲しいですね。
八畑仁美さんのライフスタイル
毎朝していること
7時:起床。準備。
7時半:家を出る。
「ごく普通です(笑)。子どもが小さい頃は6時頃起きて、お弁当を作って、夜も帰りが遅くなるので晩ご飯も作りおきをしていました。男の子2人なのでとにかく量を作ることに頑張っていました(笑)」
出社後、していること
今日やる仕事のリストアップ。
「当社では、自分の周りは自分で掃除することになっているので、掃除もします」
帰宅後の習慣
帰宅:ご飯を食べたら、ほっと一息。
「新聞が好きなので、その日の新聞を寝る前に読んでいます。この時間だともう『新聞』ではなく『古聞』ですね(笑)」
モットーは?
何をするにしても、楽しみながらやりたいなと思っています。
失敗しても「失敗したけど、何かできるよね」と考えます。
私は自分の子育てに関して、「成功したな」と思うことがあるんです。
今、息子達は20代半ばなんですが、息子が寝てる間に家を出て仕事に行き、帰るのも12時頃だったりした私に、「お母さん、ホンマ仕事好きやな」と言われたことがあって(笑)。
私の仕事をしている姿を見て「仕事って楽しいよ」ということをわかってもらえたかな、と思います。
■企業情報
名称/株式会社ノーザンライツ
代表取締役/八畑政良
設立/1995年6月1日