Global Summit of Women in Tokyo 2017.5.11-5.13レポート

 <写真は、選ばれた20人の招待学生達>

 

第27回 グローバル・サミット・オブ・ウィメン(以下GSW)が東京にて62カ国、1600人参加で開催されました。
主催は米国非営利団体“Globe Women Research & Education Institute”、会長はアイリーン・ナティビダッド氏。
1600人参加は、今まで一番多い参加数だということでしたが、参加人数の一番多い代表団は中国の96 人。次に85人のカザフスタン。ベトナムが81 人。韓国66人。アメリカ、フィリピン、スペイン、モンゴル、オーストラリアなど。アジアの方々が多い大会になったようです。
3日間に渡り、プログラム数は30。分科会は(1)リーダーシップ、(2)起業家、(3)課題に分けて行われます。

小池都知事とアイリーン氏

5/11の初日は、世耕経済産業大臣や榊原経団連会長、安倍首相の話など、日本の政治と経済界における女性活躍推進の現状を発表されました。
また、日本の女性活躍推進の象徴でもある小池都知事とアイリーン・ナティビダッドGSW代表とのセッションでは、都知事のこれまでのキャリアと現在の仕事について語られました。
皆がやっていないことを率先してやってこられた都知事が語った「クリアなビジョンがあれば恐いことはない。チャレンジすることでしか得られるものはない」という言葉には、会場の皆さんの多くが賛同されているのではと感じました。

安倍首相も出席された開会式で印象に残った言葉は、フィリピン共和国副大統領であるレニー・ロブド氏が話された言葉。「女性が職場で平等に扱われると2025年までに12兆ドルの経済的効果がもたらされるとされている。しかし実際にはジェンダー間の格差は広がっていて、2016年の経済フォーラムでは男女間で同等賃金になるには170年掛かるという数値も出された。
女性リーダーは自身の収入の90%を家族に還元しているので、女性に投資することは未来に投資することにつながる。」

開会式の後、赤坂迎賓館でのウェルカムパーティーが開かれました。

二日目からは、様々なセッションが行われました。
「グローバル及びアジア地域のメガトレンド」と題したセッションの中で、ボストン・コンサルティング・グループのシニアパートナーである津坂美樹さんが日本の現状として語ったのは、
 ・日本はここ5年で企業業績は25%上がっている。ヤマハ、シマノ、無印良品、ファーストリテイリング は世界10位に入っている。
   → 目的意識を持っている企業が伸びている。
 ・家計の半分以上は女性が握っている(日本62%)
 ・家事、育児、シルバーマーケット、ペット、ツーリズム などの分野が伸びるので、購買力を活用していくべき(何を買うかを女性が決めるから)。
   → もっとCEOが女性を登用しようと考えるべき。

IBMワトソングループのバイスプレジデントであるマイケル・カラジック氏が語ったのは、

 ・日本の管理職が少ないのは意識が低いことが原因。又日本の取締役は生え抜き社員から成り立っていることが多いことも原因。外部取締役を入れれば女性管理職が増える余地がある。

 ・意思決定を女性がもっと行わないといけない(購買だけでなく、リーダーシップにおいても)

 ・22歳で教育が終わってしまう。もっと継続的な教育が必要。

 ・リーダーに任命された時喜ぶこと。価値を与えられるんだと思うことが重要。

 「男性CEOフォーラム:トップダウンでダイバーシティをリード」というテーマのセッションで、株式会社資生堂の魚谷雅彦社長が語ったのは、

 ・適材適所が重要。女性にも恐れてはいけないと言っている。もっと勉強しなさい。チャレンジを受けて立ちなさない(男性も同じ)。

 ・透明性が大切。

 ・どんな価値観を女性管理職がもたらすかと考える。プラスの変化をもたらすという意識がリーダーに必要。女性活躍推進を他のところがやってるからという観点でやってはいけない。

「リーダーシップを目指すグローバルなキャリアパスの開拓」というテーマのセッションで、スリーエムジャパン株式会社社長であるデニース・ラザフォード氏がグローバルにキャリアをアップしていくために語ったのは、

 ・どんな職にあっても、どんな国に行っても、その国に興味を持つこと。

 ・自分の教育に投資すること

 ・主張すること

 ・家族が自分のキャリアをサポートしてくれること

「男性リーダーとの協調構築」というテーマのセッションで、Lynas Corp CEOであるアマンダ・ラカーズ氏が語ったのは、

 ・男女のバランスの取れたチームの方がパフォーマンスが高い。

 ・子育て中に教える(息子には自分の娘と結婚させたいと思えるように育てる)

 ・組織を良く知ること(他部署のボスとも接する)

 ・ネットワーキングが重要。   

それぞれご自身の体験の元で語られた言葉には力がありました。

 

一方で、今回のテーマは、既に国内のダイバーシティ関連のイベントで取り上げられ、語り尽くされているテーマが多く、登壇者は違えど、内容に新鮮味が少ないことが気になりました。

参加者のうち300人は日本人でしたが、企業で働く方々、起業家の方々が半々ぐらいかなという印象です。

どういう経緯や目的で参加されたのか興味がありましたが、多くは国際会議が初めての方で、どういう心持ちで参加したら良いか探りながらという方が多く、残念ながら日本人が固まって過ごす姿もそこここで見受けられました。

しかしながら、学生向けのセッションには100名以上の学生が参加し、20人の学生達はスカラシップで三日間通して招待されました。

彼女たちは毎朝、終了後ミーティングをし、その日何を学ぶか、得たものは何かをシェアしながら、セッションでは積極的に英語で登壇者に質問する姿も見受けられ、未来が明るく感じたのは私だけではないと思います。

 

今回のサミットを通して、世界の女性リーダー達を目の当たりにする機会を得ましたが、話されている内容は日本でも既に語り尽くされていることであり、すべきことはこれまではっきりしているのだと痛感しました。

それでも日本が賃金格差、管理職登用率の低さ、性別役割分担意識の高さなど、世界とははるかに遅れた意識レベルであり、社会レベルであることに改めて気付かされました。

今後止まることなく、一人ひとりが行動し、発言していくことで、少しでもこの状況を打開していくことこそが、このサミットに参加した私達の課せられた使命だと肝に銘じ、会場を後にしました。

<文責:篠田寛子>

 

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