- 2016-11-5
- 行政データ
来る12/21(水)に、年に一度の大きなイベントである
「あいち女性の活躍促進サミット2016」が開催されます。
今回のサミットでは、今年度新たに創設した「あいち女性輝きカンパニー」優良企業の表彰式が初めて開催されます。 また、女性の活躍推進企業による好取り組み事例の発表など、これから女性活躍を推進していきたい企業にとって参考となる内容です。 参加お申込み方法など、詳しくはこちらをご覧ください。 |
愛知県の男女共同参画推進課に訪問し、愛知県の女性活躍の支援にはどういう特徴があるかを取材させていただきました。
今回の取材では、特に今力を入れていることとして、下記の2つの支援策について詳しく伺ってきました。
一つ目は、理系女子学生を増やす啓蒙活動です。
愛知県には製造業の企業が多く(製造業が占める割合は、全国(平成25 年)の18.4%に対し、愛知県(平成25 年度)は33.7%)、女性に製造の現場でもっと活躍してほしいと思っても、そもそも理系の女子学生が少ない現状があります。
多くの高校では、一年生の段階で、将来理系に行くか、文系に行くか進路を決めることが多く、
まだはっきり将来を決めていない女子学生達は、
「女子は文系だよね」となんとなく文系に進んでしまう傾向があります。親からも、そう勧められることが拍車を掛けているとも言われています。
これでは、理系を専攻する女子学生は増えませんし、企業が採用しようにもできないという構図ができあがってしまっています。
そこで、理系の女子学生を増やすために、愛知県では、
●「女子のための理系☆きっかけフェスタ」といった、中学生から参加できる、理系の魅力をご紹介するイベントを開催(2016/11/6)
●「リケイなミライ 理系女子進路選択プロジェクト」
女子高生向けに、理工系分野への進路選択を支援するリーフレットを作成し、県内の高校1年生全員に配布。
裏面には3名の事例紹介が掲載されていて、動画でも紹介されています。
詳しくはこちらの愛知県のページから
このような、中高生の段階から、理系の仕事への理解を深め、理系に進学する女子学生を増やそうという取り組みをしています。
周りに理系に進んだ先輩がいない、技術系で働いている女性がいないというように、よく知らないから理系を選択しない学生にとって、このような知る機会は重要です。
なお、理系に限らず、女子学生向けに、仕事を続けてもらうための啓蒙活動として「ジョシゴト応援ノート」といった冊子も作られています。
女子大学生が就職やキャリアを考える際に役立つ情報をまとめた冊子で、県内の全大学に配布されるほか、一部の大学ではセミナーを開催。
これから就職する女子大学生などに対して就業継続への意識を高めてもらうことをねらいとしています。
キャリアコンサルタントと女子大学生の対話形式で作られていて、「産休育休を取得して働き続ける人生」と「結婚・出産を機に仕事を辞める人生」との収入や社会保障の比較など、わかりやすく作られています。
ダウンロードもできます。詳しくはこちらから。
もう一つの支援策は、中小企業への取り組みです。
女性活躍推進法が2016年4月に施行され、301人以上の社員がある会社は、対応が義務化されましたが、それ以下の会社は努力義務となっています。
そのため、女性活躍についてまだまだ対応が遅れており、何をしていいかわからないといった企業が多く見受けられます。
しかしながら、愛知県では、県内の企業数のうち、中小企業が9割以上を占めていますので、中小企業への対応が必至です。
人口が減っていく中、企業成長のためには、女性やシニアといった、まだまだ力を発揮していない層に活躍してもらう必要がありますが、
中小企業の経営者からは、「女性を活躍させたいとは思うが、何から進めていいかわからない」「うまくいっている事例が知りたい」「社員を募集しても、そもそも女性が応募してくれない」「今まで男性ばかりだった職種に女性を採用しにくい」などといった声が多く聞かれます。
そこで、中小企業の女性活躍促進の好事例集を冊子にする計画が進んでいます。(近々配布する予定)
女性活躍を促進するためには、既に取り組み、成功している事例を多く知ってもらい、多くの中小企業の経営者が経営戦略の視点に気付き、取り組むきっかけにして欲しいと考えています。
完成が待たれます。
なお、愛知県のこれらの取り組みは、「あいち女性の活躍促進応援サイト」というサイトで詳しく紹介されています。
http://www.pref.aichi.jp/danjo/jokatsu/
今回取り上げた二つの支援策の他にも、「女性の活躍に取り組む企業の方」や「活躍したいと思っている女性達」向けに愛知県が行っている幅広い支援や情報が掲載されているので、ご覧ください。
子供ができると会社を辞めてしまう女性の割合が全国に比べて高く、保守的と言われている愛知県。
それは裏を返せば、生活が豊かだという所以でもあります。
女性活躍推進は、今やってすぐ結果が出るものではありません。
将来のビジョンを描き、長い期間を掛けて徐々に行っていく必要がある対策なので、豊かな今だからこそ、将来を見据えた対応ができると言えるでしょう。
今回は特に二つの支援策をお聞きしましたが、底上げ、啓蒙という行政にしかできない支援は、できるだけたくさんの人びと、企業に受けてもらってこそ生きるものだなと改めて感じました。
今後もこのサイトで逐次情報を掲載していきたいと思います。
(取材担当:篠田寛子)