- 2016-9-15
- 女性活躍を支援する方々, 独自取材
今回お話を伺った方
在日米国商工会議所 中部支部 ウィメン・イン・ビジネス委員会
委員長 榊原 エリン さん
中部の在日米国商工会議所にて、 ウィメン・イン・ビジネス委員会の委員長を務める榊原エリンさんに、ご自身のキャリアライフと女性を支える想いについてお話を伺いました。
ー在日米国商工会議所の主な活動を教えてください
在日米国商工会議所 (ACCJ) は、日米の経済関係のさらなる進展、会員企業および会員活動の支援、そして日本における国際的なビジネス環境の強化等を目標とし1948年に設立されました。
今日では、東京、大阪、名古屋にオフィスを置き、40数か国の約1,000社を代表する、およそ3,000名のメンバーがいます。
中でもACCJ中部支部は、米国を含む国際ビジネスコミュニティで活動する企業が名古屋においてビジネスを展開するにあたり、重要な『ハブ=拠点』として位置づけられています。
およそ200人が所属するACCJ中部支部では、メンバーの約半数が起業家で、航空宇宙、自動車産業、重工業などの製造業で従事されてるメンバーも多く所属しています。
また、8つの委員会を通じて活動をし、アメリカンセンターおよびアメリカ領事館と連携し年間50回にもおよぶイベントを開催しています。世界的に著名な専門家やビジネスリーダーをお招きし、名古屋ビジネスにふさわしいテーマで講演やセミナーなどを行なっています。
私が委員長をしているウィメン・イン・ビジネス委員会は、女性活躍とダイバーシティ・アンド・インクルージョンをテーマにした活動をしています。
ちょうど毎年一度企画する大きなイベントが9/13にありました(ACCJ中部ウィメン・イン・ビジネス・サミット)。
ー日本の次世代のために、日本で女性が可能性を狭めず、きちんとワークライフバランスを取りながら働ける環境を作ることに協力したいです。ー
●Career Story Of Her
日本の良い面と悪い面を体験してきました。
アメリカで働いている先で夫と知り合い、夫の出身地である名古屋に引っ越してきたのが24年前です。
その後三つ子が生まれ、2年後にもう一人増えて、4人の女の子を育ててきました。
1988年にアメリカの大学を卒業したのですが、その時のアメリカ社会の雰囲気は、女性でも、仕事も結婚も子育てもみんなやって当たり前という感じでした。
私もそういう考えを持っていたので、初めての出産後すぐに働こうと考えていましたが、まさか三つ子とは思っておらず、とても働くのは無理になりました。
今から考えれば、アメリカで産んでいたら、それでも働かなくちゃというプレッシャーを感じたと思いますが、日本ではその時代出産後は家でお母さんをするというのが当たり前。そういう意味では日本にいて良かったと思います。
ただ、子どもが少し大きくなって何かしたいと思った時には、日本にいることがマイナスになります。
「なぜ働くの?」「お母さんは子育てしていればいいのよ」という声も聞きました。
日本では子育てしながら働くことの難しさを感じましたね。
それでも、大学院に通って国際開発の勉強をし、特定非営利活動法人ホープ・インターナショナル開発機構でボランティアとして活動を行いました。
そして、この在日米国商工会議所には4年前からボランティアとして関わらせていただいています。
同時に、仕事としては、現在大学や文化センターなどで英会話の先生として働いています。
-なぜ女性支援をしようと思ったのですか?
ある集まりで、お隣にいた男性に、その方の大学生の娘さんの将来についてお聞きする機会があったんです。
彼は「勉強はあんまりだね。でも女の子は結婚するからいいや。」と言われました。
私はそれを聞いて、日本では特に将来に関しては、娘に対する期待は低く、かしこくなくても結婚するからいい、というメンタリティーがあることに衝撃を受けました。
私達夫婦は、共通の認識として、子ども達には自分の意思で自分のやりたいことを決めてもらいたいと考えています。
そのために、英語と日本語のバイリンガルで育つ環境を用意し、高校からは日本でもアメリカでもどちらを選択するかは本人に任せました。
その結果4人共今はアメリカの大学で学んでいます。
彼女たちの将来の夢は、皆全く違っていますし、今後どこに住むのかも本人たちの意思で決めるでしょう。
なぜ彼女たちが日本の学校を選ばなかったかというと、日本では高校に入るとすぐに文系理系を選択しなくてはいけないことがほとんどです。
そしてレールに沿って教育を受け、その枠の中で受験する大学を選びます。
このやり方は、高校一年生の段階では将来何をしたいかまだわからないのに、枠にはめられて職業の選択肢が狭くなってしまうような気がします。
一方アメリカでは、大学3年生ぐらいに進路を決めます。
そして選択して違うなと思えば、4年生になって変えてもいいし、卒業後別の仕事をしたいと思ったら、又大学に戻って別の勉強をし直すことも自由です。
先ほどの男性の話や、日本のこの教育のシステムから考えて、まだまだ日本では女性は自由に将来を決められない、自由に選択できない現状が見えてきます。
とても残念なことだと感じています。
小さい頃から夢を持って、その夢を壊さない、何でも叶う世の中、何でもなりたい職業になれる自由があるといいなと思います。
私が現在の活動をしているのは、日本の将来のために、次世代のために、日本で女性が可能性を狭めず、きちんとワークライフバランスを取りながら働ける環境を作ることに力を尽くしたいと思ったからです。
女性には根本にリーダーシップがあります。それに気づくこと、気づかせることが大切です。
-日本の女性リーダーに必要なスキルとは?
特定非営利活動法人ホープ・インターナショナル開発機構でフィリピンなどの開発途上国に行った時に感じたのですが、女性には皆リーダーシップがあるということです。
食べていくのにやっという環境では、女性は家族を何としても守ろうとします。
生きていくのに大変な環境を少しでも良くなるように変えていきたいと思う力やリスクに対応する力を持っていて、お金を稼ぐのは自分のためではなく、皆のため、そして皆でシェアしようという感覚は、特に女性の方が強いと感じました。
また、子育ても仕事もと、女性はマルチタスクをこなす能力が高くて、周りに助けを求めることもできる。これらもリーダーシップの要素です。
日本のような満たされた環境にいると、そういう力があったとしても気がつかないし、出てこなくなってしまっているのではと思います。
それに気づいてもらうためには、既にそういう力を発揮している方と話すといったメンタリングやサポートという外から気づかせる機会が必要だと思います。
私達が企画している「ACCJ中部ウィメン・イン・ビジネス・サミット」は、そういう方々と身近に接してもらって話ができる場を設けています。
ですから、東海地方の隠れたリーダー候補の女性達にもっともっと参加してもらいたいですね。
また、ボランティアは自分の意思でリーダーになれます。
自分のネットワークを広げることもできるし、そこからビジネスも生まれるので、ボランディアだからこそできるリーダーシップの練習もあります。
ACCJは、それらを醸成する場でもあると思っています。
■企業情報
名称/在日米国商工会議所
中部支部 http://www.accj.or.jp/ja/chapters/chubu/the-chubu-chapter