【番外編】「クリスマス」の起源とは?
イエス・キリスト降誕を祝うクリスマスの時期がやって来ました。 12月25日にクリスマスが祝われたとされる最古の記録が見つかるのは、ローマ時代の西暦336年。世紀末には、キリスト教国全体でクリスマスが祝祭になったと言われています。 一方、キリスト生誕を祝う儀式は、全く別の時期に行われていた可能性が高く、キリストが12月25日に誕生したという記述は聖書の中に見当たらないのです。 古代のキリスト教会は布教策として、異教徒が行う祝祭を教会の祭りと同化していました。イングランドの例を紹介すると、5世紀末、カンタベリーの大司教によってアングロ・サクソン人が神聖な日とする12月25日と、異教徒の冬至祭を合体。11世紀には、キリストの生誕祝い・古代ローマの祭り・ゲルマン人の冬至祭が混ざり合い、現在のクリスマスの原型が出来上っていきます。 一方、宗教と深く関わりを持つクリスマスの慣習は、宗教改革期にプロテスタントによって大半が禁止され、やがて宗教色を失っていきました。 さらに産業革命期には、非生産的なクリスマスの祝宴は工業化の流れに沿わないとされ、次第に廃れていきます。 そんなクリスマスが今日でも英国の盛大な祭事であるのは、一体なぜなのでしょうか? 実は、ヴィクトリア女王がクリスマスの復活に一役買っていたのです!
彼女の夫アルバート公はドイツ出身。つまり、ヴィクトリア女王は今で言う「国際結婚」をしました。 英国に渡ったアルバート公は、ドイツ式のクリスマスを王室に紹介。特に、ドイツ由来のクリスマス・ツリーを飾る習慣は、女王の家族がツリーを囲む様子を描いた絵画の発表によって、一般家庭にも普及していきました。 昨年、現女王のエリザベス2世が毎年恒例のクリスマス・メッセージの中で、高祖父母にあたるヴィクトリア女王夫妻とツリーの関係を紹介されています。 ツリーの頂点に飾り付けをするのもアルバート公から始まった習慣で、王室のツリーの頂点には、迫害されながらも「他者を愛す」ことの重要性を説いたキリストの人生を想起する天使の飾りが載せられていたそうです。 隣人愛にのっとった慈善の精神や、家族愛の重要性が強調されたヴィクトリア朝社会。 女王夫妻が象徴した家族中心のクリスマスは、時代精神が反映された祝祭となり、その面影を今日まで残しています。様々な人種と宗教に由来する祭りから、愛する家族と過ごせる喜びを分かち合う日へ。クリスマスの起源と歴史に思いをはせると、エリザベス女王のメッセージが胸に染みます。 There are millions of people lighting candles of hope in our world today. Christmas is a good time to be thankful for them, and for all that brings light to our lives.
皆さんが大切な人と素敵なクリスマスを過ごせますように・・・。
[出典] イギリス王室ホームページ、Christmas Broadcast 2015 |