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vol.1 【現代日本はヴィクトリア朝社会!? 】

英国の歴史に女性あり。特にイングランドでは、「女王の治世に国が繁栄する」と言われ、女性君主がその名を歴史に刻んできました。例えば、60年以上に渡り大英帝国を治めたヴィクトリア女王。「国王は君臨すれども統治せず」の言葉通り、国内政治や外交政策を陰で支え、妻そして母として理想的な家族のあり方を体現しました。まさに帝国の最盛期を支えた誉れ高き女王と言えるでしょう。

彼女が治めたヴィクトリア朝時代(1837~1901年)は、「男性は仕事、女性は家庭」とする性別役割分業の理念が確立された時代として知られます。教育や職業、そして家庭生活など、あらゆる場面で限られた選択肢しか与えられなかった女性。彼女たちが経験した困難や葛藤は、現在を生きる私たちにも共通する部分があります。100年以上昔の西欧社会で誕生した「女性は家庭」の規範が、現在も根強く日本女性の社会進出を妨げている。このことは残念ながら、否定できない現実であるように思えます。

政界や企業で活躍する女性の姿が目立ってきたように感じる昨今の日本ですが、こんな統計も。2015年の総務省・労働力調査(基本集計)によると、「管理的職業従事者」総数に占める女性の割合はわずか13%!これが他国と比較してかなり低い数字であることは、今や広く知れ渡った事実となっています。世界に目を向けるならば、女性が大企業や一国のリーダーを務める国が数多く存在する今日。スリランカで世界初の女性首相が誕生したのは、今から50年以上前のことです。日本初の女性首相が誕生、そして女性が当然のように企業内で管理職を任される時代は、果たして実現するのでしょうか?

英国で歴代最長在位を誇ったヴィクトリア女王の記録を更新したのは、彼女の血を引く現女王・エリザベス2世。国の繁栄を導くとされる女王の治世に、国民は「EU離脱」という大きな決断を下しました。政治的・経済的に重大な局面を迎える英国を、「鉄の女」サッチャー氏以来の女性首相が再び率いることになり、その手腕に期待が寄せられています。そんな現代の英国をつくり上げた歴史を知ることは、日本の進むべき将来像を描く上で重要なことではないでしょうか?まずは、ヴィクトリア朝社会に暮らした女性たちの生き様を追体験し、日本が直面する矛盾や問題点を解決するためのヒントを得たいと思います。女性リーダーが当たり前に存在する社会を目指して…

このコラムでは、英国ヴィクトリア朝時代とその前後に生きた女性たちの活動や作品をご紹介していきます。

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